引越ししないで任意売却!
神奈川県内で飲食店を営むNさんより自宅不動産の売却相談をお受けしました。
Nさんは自宅の一部を店舗にして日本蕎麦屋さんを営んでいましたが
銀行より借入した事業資金と消費者金融からの借り入れの返済が厳しく、
そばやさんの売り上げで収支が回らなくなってしまっていたのです。
銀行の借り入れの残は約1,800万円、消費者金融は3社で約220万円あり、
大幅な遅れこそないものの、毎月の約束日での支払いができなくなりつつあ
るといった状況のようでした。
Nさんは前にもお蕎麦屋さんをあきらめ、自宅兼店舗を売却することを考
え、不動産屋さんに相談をしたことがありました。しかし、店舗併用住宅と
いう物件の特殊性より、土地代として1,200万円程度じゃないと売れない、と
いわれてしまい、それでは銀行への借り入れを返済できないため、売却を断
念したということでした。
Nさんへ物件を売却してお蕎麦屋さんをやめて、その後一体どうするつも
りなのかお伺いしたところ、Nさんは「自分はそばや一本で生きてきた。で
きればそば屋をやめたくはない。でもこのままではどうしようもないので」
と先行きの見通しがない中での苦渋の判断であったことがわかりました。
Nさんの希望は、物件は売却してもいい、しかしできればそば屋さんは続
けて行きたい、自分はそば屋しか生きていく道はないというもの。しかし、
お店は自宅と一緒で銀行の担保に入ってしまっている・・・この状況を打破
するべく、当社はNさんへある提案を行いました。
それは、リースバックという方法です。
Nさんの同意を得て、Nさんへ物件を賃貸してくれる条件の買取業者さん
を探しました。土地の処分相場が約1,200万円ですが、リースバック条件とな
ると一気に買付価額の相場は下がります。それでも、そば屋さんの収支自体
は堅調であったため、何とか980万円での買い付け先を見つけることができ
ました。
買い付け先との約束のもと、Nさんへ弁護士への委任を提案、弁護士は銀
行への受任通知を発信し月々の返済を止めるとともに、破産の予告を行いま
した。あとは銀行に対しての980万円での担保解除の折衝です。
当初、銀行は相場価額を下回る980万円での売却は受け入れられないとの
回答でしたが、店舗併用住宅という特殊性より価額の減額はやむをえないと
判断し応じてくれるようになったのです。
Nさんは自宅兼店舗の売却を行い、同時に破産手続きを行い銀行からの借
金と消費査金融借り入れを清算、商売を続けながら、買取業者さんへ月々12
万円の賃借料を払いつつお蕎麦屋さんを続けておられます。
Nさんと買取業者さんとの間には、実は物件買戻しの契約があり、20年
間の内に1,200万円で買い戻しができるといった約束がかわされています。
月々の収支がぐっと楽になったNさんは、1,200万円で売却した不動産を買
いもどすべく、現在もお蕎麦屋さんを続けていらっしゃいます。