リストラ退職者の任意売却事例
川崎市内のマンションに居住のTさん。銀行より住宅ローンを借り入れし
マンションを購入したものの、返済のめどが立たなくなり相談に訪れた。
事情をお聴きすると、3年前に勤めていた大手家電メーカーを退職、会社
の業績不振により早期退職(いわゆるリストラ)を勧められ、職場における
人間関係がうまくいっていなかったこともあり、会社の勧める通り早期退職
に応じたという。
退職後、Tさんは自身のキャリアを生かした仕事に就くべく新しい就職先
を探したが、再就職の市場は厳しく、何度も面接を受けては採用されないと
いったことを繰り返すうちに、職探し自体をあきらめてしまったらしい。そ
の後、人と接すること自体を恐れるようになったTさんは、勤務先を退職し
た後の3年間、新しい仕事に就くどころか、アルバイトさえせず、病気で体
調のすぐれない奥様と二人でマンションに住み続けた。
退職時にいくらかの割増退職金を受け取ったが、それを夫婦の切り詰めた
生活費に充てつつ、銀行ローンの返済も遅れずに払っていたとのこと。
しかし、とうとう退職金も底をつき、といっても新しい仕事に就くことも
できず、当社へ相談に訪れたのだった。
Tさんのマンションは駅に近く築浅であったこともあり、売却先を探すの
は簡単だった、ただし、収入も貯金も全くない以上、マンションを売ってか
ら住むところがない。働く気がないのかと、よくお話を聞いてみたところ、
やはり人間関係に起因するトラブルを極端に恐れるようになっており、今の
ままでは、自身で生きていくこと自体が難しいと思われた。
また、同居中の奥様も病気を患っておられるご様子。Tさんの同意のもと
役所に対し生活保護の申請準備の折衝を行いつつ、所有マンションの任意売
却に着手、生活保護受給を条件とした賃貸入居先のあっせんを進めた。
物件売却前の生活保護の役所に対しての申請は極めて難しい折衝であった
が、何とか申請承認の目途がつき、併行して行っていた銀行への担保解除折
衝も完了、Tさんは物件を売却し、生活保護手当を受給しながら賃貸アパー
トへ転居することができた。
生活保護の申請は、役所によってハードルの高さが違うので、結構大変で
すね。
あとは、新しく住む先を探すのも、事情によりかなり厳しいものがありま
す。
相談に来られる方、それぞれの事情があります。
あらゆるケースで解決の道筋がすぐに決まるというわけではありません。
でも、必ず、方法はあるはずです。
あきらめずに、一緒に歩く方向を探していきたい、そう感じさせてくれた
事例でした。